無料で古紙回収したあとの需要と供給について
古紙回収率約80%の日本、実はそれらすべてが日本国内においてリサイクルされているわけではありません。実は、そのなかの約20%は中国や東南アジアへ輸出されています。中国をはじめとするアジアの国々は紙の需要が高いにもかかわらず、供給が追い付いていません。その結果、諸外国に頼らざるを得なくなっています。紙が必要な国というのは、人口が多く、経済発展が著しい国のことです。まさに中国はこの条件に当てはまる国です。
日本における無料の古紙回収は足りないのでは?それなのになぜ中国をはじめとする海外に輸出するのか?さまざまな疑問がわいてくることでしょう。実際のところ、古紙回収は無料で集められていますが、日本の紙需要とバランスがとれておらず、古紙が余ってしまう状況になっています。これまでは、余った古紙を輸出することでバランスを取ってきており、輸出先の半分以上が中国になっていました。簡単にまとめると、無料の古紙回収で集められたものは約10%が中国に輸出されていたことになるのです。
しかし、中国政府は2021年から古紙の輸入を中止するという意向を発表しています。日本だけではなく、中国に古紙を輸出していた国にとっては一大事です。中国にとっては、古紙だけではなく、廃プラスチックなどの輸入も禁止するとのこと。これは世界経済に大きな影響を及ぼすことでしょう。
日本は、徐々に人口も減っていますし、何よりも紙を必要とする若い世代の人口が少ないため、需要も頭打ちです。コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークが増えたため、コピー用紙の使用量も減っています。さらに、学校の教科書なども書籍ではなく、タブレット端末で見るタイプが増えてくれば、紙類が必要なくなってしまいます。学生にとっては、重い荷物を抱えて学校に行かなくて済むのは大きなメリットでしょう。しかし、このような流れで紙の需要が減る、印刷しなくてよい、雇用問題にも大きく影響しそうな気配がします。すでに、雑誌や小説など電子書籍で楽しむことができるようになっているため、この流れは時間の問題とは思われますが、今後の古紙のあり方にも大きく影響を与えるでしょう。
無料で古紙回収をしても使い道がなくなれば、プレスされて製品化を待つ古紙を保管する場所も必要になります。毎日多くの古紙が回収されることを考えると、保管する場所に困る事態が起きそうです。国や自治体が古紙についてどう考えているのか分かりませんが、私たちは今後を見守っていくしかありません。